最近では小腸内視鏡検査も積極的に行われるようになりましたが、当クリニックでは上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸)と下部消化管内視鏡検査(大腸・直腸)を積極的に行ってまいりました。しかしながら最近は大腸内視鏡検査を行うと身体にかなり負担がかかるようになり、残念ですが大腸内視鏡検査は辞めることにいたしました。上部消化管内視鏡検査は今後も続けて行いますので宜しくお願い致します。
これらの検査の目的は、逆流性食道炎・萎縮性胃炎・ピロリー菌の有無・胃潰瘍や潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患の発見と治療効果の判定など、一方、がんに代表される悪性疾患の発見および治療であります。
良性疾患では、逆流性食道炎の患者さんがずいぶん増えた感じがあります。以前は高齢者に多いと言われていましたが、最近では若い方にも多くみられております。胸焼け、喉のつかえ感、胸がセイセイしない、ゲップが多い、口臭が気になるなどの症状がある方は、食道がんを鑑別するためにも、内視鏡検査を受けることをお勧めします。
また、大腸では潰瘍性大腸炎の患者さんが増えているという印象があります。原因は不明で、症状としては長く続く下痢、腹痛、便の中に血が混じるなどです。これらの症状は大腸がんでもみられるものであり、便通異常がみられる方、便潜血反応が陽性の方はきちんと内視鏡検査を受ける受けることをお勧めします。
がんに代表される悪性疾患にたいする内視鏡検査の目的は、進行がんを見つけることではなく早期がんを見つけることであり、さらに早期がんの中でも内視鏡治療が可能ながんを見つけることだと思っております。
ポリープにたいするポリペクトミー、大きさが2cm以下の病変にたいするEMR(内視鏡的粘膜切除術)、さらに大きな病変にたいするESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)と内視鏡治療の技術は進歩しており、その適応も拡大しております。開腹手術ではなく、内視鏡治療ですむ病変を見つけ出すこと、それが私の使命だと思っております。
当クリニックでも内視鏡治療を行っておりますが、穿孔(穴があいてしまう)や出血などの合併症を起こさないために、壁の薄い食道にたいしては内視鏡治療は行っておらず、総合病院に紹介しております。
胃の病変にたいしては合併症のことも考え、決して無理をせず当クリニックでやれる範囲のことをやるようにしております。 |